知っていますか?情報流通プラットフォーム対処法
2025/04/21
基礎知識

2025年4月1日から施行されている「情報流通プラットフォーム対処法」(通称:情プラ法)は、インターネット上の誹謗中傷や権利侵害情報への対応を強化するために制定された新しい法律です。
本コラムでは、情プラ法の概要や施行の背景について詳しく解説します。
情報流通プラットフォーム対処法とは
情報流通プラットフォーム対処法、通称「情プラ法」は、インターネット上での誹謗中傷や権利侵害情報に対する対応を強化するために、元々あった「プロバイダ責任制限法」の一部を改正した法律です。
インターネット上における誹謗中傷等の相談件数が高止まりする状況を踏まえ、大規模プラットフォーム事業者に対して新たな規制を行う内容が盛り込まれています。
情報流通プラットフォーム対処法によって大規模特定電気通信役務提供者に課されるのは、以下の義務です。
① 総務大臣に対する届出
② 被侵害者からの申出を受け付ける方法の公表
③ 侵害情報に係る調査の実施
④ 侵害情報調査専門員の選任・届出
⑤ 送信防止措置の申出者に対する通知
⑥ 送信防止措置の実施に関する基準等の公表
⑦ 送信防止措置を講じた場合の発信者に対する通知等
⑧ 送信防止措置の実施状況等の公表
この中の特に⑤については、SNS事業者に対して誹謗中傷や権利侵害の申し出を受けた場合、7日以内に対応を判断し、その結果を通知することを義務づけるものになっています。
その他にも、事業者は削除基準を明示し、年に一度その運用状況を公表することが求められます。さらに、違法情報の削除促進も含まれており、名誉毀損やプライバシー侵害、違法薬物や闇バイトの募集などが削除対象として例示されています。
施行の背景
SNSの普及に伴い、インターネット上での誹謗中傷や権利侵害が深刻化しています。
かつては主に著名人が被害の対象でしたが、近年では一般個人も巻き込まれるケースが増加。特に、AIを利用したbotや匿名性を悪用した投稿による被害が問題視されてきました。
情報プラ法の目的は、SNS事業者に対して誹謗中傷や違法情報への迅速な対応を義務づけ、被害者の救済を早めること。また、削除基準の明確化や運用状況の公表を通じて、事業者の透明性を高め、利用者の信頼を得ることも目指しています。
この法律により、SNS上での誹謗中傷の抑制や、より健全で信頼できる情報流通環境の実現が期待されています。
施行の影響
情プラ法の施行により、SNSをはじめとする大規模プラットフォーム上の誹謗中傷や違法情報への対応が加速すると見込まれています。これにより、被害者が声を上げやすくなり、プラットフォーム側の対応もより迅速・透明になることが期待されます。
しかし一方で、実際に削除対応が取られるまでには依然として「調査」や「基準判断」といった時間と手間がかかるのが現実です。また、すべての誹謗中傷や風評が即座に削除されるとは限らず、対応の遅れや情報の拡散によって、企業や個人の信頼・ブランドイメージが大きく損なわれるケースも少なくありません。
こうしたリスクに備えるには、法制度に頼るだけでなく、早期発見・迅速対応を実現する体制の整備が重要です。
情プラ法の施行をきっかけに、「もしも」に備える体制づくりを一緒に始めてみませんか?
