顧客情報流出と企業の風評リスク
2025/11/17
NEWS

近年、サイバー攻撃、とりわけランサムウェアによる情報流出は国内外の企業にとって最も重大な経営リスクのひとつとなっています。
顧客データや取引先情報の漏えいは、金銭的損失だけでなく、企業の信頼性そのものを揺るがす問題であり、経営判断や広報対応の遅れがブランド価値の継続的な毀損に繋がります。
本コラムでは、情報流出がもたらす影響を整理しながら、「事故後に発生する風評被害」に焦点を当て、その対策を企業がどのように構築すべきかを解説します。
情報流出は「IT部門の問題」ではなく「経営課題」
情報漏えいが起きる原因としては、
・ランサムウェアなどのサイバー攻撃
・内部不正(データ持ち出し)
・誤送信・設定ミス
・サーバー管理の不備
など複数存在します。
しかし、どの原因であっても信用を失うという点においては同一のリスクです。
特に流出情報に顧客データが含まれる場合、次のような影響が発生します。
顧客との信頼関係の崩壊
情報流出が確認された瞬間、企業に対する信用は大きく揺らぎます。
「情報を預けても安全か」という根源的な疑問が生まれ、サービス利用のリピート率・継続率が低下する恐れがあります。
SNS・検索エンジン上での評判悪化
情報流出に関する報道やSNS投稿が増加すると、次のようなオンライン上の影響が出ます。
・検索時に関連ワードとして「企業名+情報漏えい」が表示される
・口コミサイトに批判的内容が投稿される
・掲示板・SNSにて憶測情報が拡散される
このように、事実よりも印象が独り歩きする形で評判が悪化するのが特徴です。
新規顧客・採用・取引に影響
BtoC業態では特に、利用者は口コミや検索結果を重視する傾向が強いため、評判が落ちると集客・採用の双方で数字に影響が出ます。
情報流出と風評被害が「セットで発生」する理由
情報流出は単体で完結する問題ではなく、発生後に以下のような一連の動きが起こります。
①報道・SNSで情報が拡散
②ネガティブな書き込みが増加
③検索エンジンにネガティブなサジェストが出現
④掲示板・SNSで憶測や誤情報が流布
⑤Googleマップ・口コミにも悪影響が波及
ここで重要なのは、
「情報流出そのものよりも、その後の評判悪化のほうが事業インパクトが大きい」
という点です。
情報漏えいは一過性でも、風評は長期的に残りやすいため、企業側が早期に対策を講じない場合、半年〜1年以上影響が持続することもあります。
企業が取るべきリスク対策
情報セキュリティの向上
情報流出を防ぐための取り組みは当然必須で、一般的には以下が重要になります。
・アクセス権限の最小化
・サーバー管理と脆弱性対応
・ランサムウェア対策(バックアップ・多層防御)
・社内向けセキュリティ教育
・インシデント発生時の対応フロー整備
これらは、「事故の発生確率」と「被害の深刻度」を下げるための一次防御です。
ネット上の風評被害対策
ただし、本当に企業価値を守るうえで必要なのは「二次防御」である 風評被害対策 です。
■ネット上で起きる風評加速の代表例
・Google検索のサジェスト汚染
・マップ(Googleビジネスプロフィール)への低評価投稿
・個人ブログやSNSでの批判的発信
・企業名検索時にネガティブ記事が上位表示される(逆SEO問題)
■ 二次防御として必要な取り組み
・検索・SNS・口コミの定期モニタリング
・事実と異なる情報が拡散している場合の迅速な対応
・正確な情報の発信(公式サイト・SNS)
・Googleクチコミのポジティブ評価の強化
・サジェスト汚染・逆SEOなど専門的な対策の実施
特にBtoC企業の場合、口コミと検索結果は来店・問い合わせに直結するため、
風評管理は集客施策そのものとセットで考える必要があります。
まとめ
現代の企業リスクは、
「情報流出 × 風評被害」
という二段構えで到来します。
情報セキュリティだけでは企業価値は守れず、
風評管理(レピュテーションリスク対策)なくして信頼回復は実現しません。



